医学検査学科学生の研究発表が九州リウマチ学会最優秀演題賞受賞
本学医学検査学科4年生の平野純さんが「第63回九州リウマチ学会」で発表した「関節エコーによる若年健常者における下肢腱付着部の正常構造の解析」が、「最優秀演題賞」を受賞しました。
この賞は、学生・医学部初期研修医における優れた研究および発表を行った者に対して贈られるものです。本研究は免疫ゼミにて研究した内容をまとめたもので、ゼミ学生全員(髙山真紀子、武富 康起、廣瀬 聖、前田 夢海、宮嶋 優依子、毛利 穂乃香)の努力の結果でした。
指導教員である本学の小荒田秀一教授(専門分野/膠原病リウマチ学、臨床免疫学)は、「リウマチ性疾患における関節の異常構造の解析や活動性に関する報告は多いのですが、日本人の正常構造に関する報告は限られたものになっています。とくに日本人の腱付着部の厚さは今まで不明でした。若年成人にあたる国際医療福祉大学大川キャンパスの学生を対象とし、関節エコーによって下肢の関節と腱の正常構造を解析しました。その結果、腱厚に左右差はありませんでしたが、興味深いことに腱厚と身長・体重との相関が右膝腱付着部にのみにみられました。ほかの部位の腱ではこれらの体格との相関がみられませんでした。先行研究よると日本人は、ほとんどすべての人の利き足が右であると報告されていることから、右膝蓋腱厚との相関に深い影響を与えていると考えられました。また、文献では、左右、利き足と軸足を分けても腱厚の平均値には差がないと報告していますが、今回、左右を分けて利き足との相関の可能性を検討したのは本研究が世界で初めてでした。そしてアキレス腱では左右ともに体格よりもBMIが大きく影響していることもわかり、糖尿病や高脂血症などの影響も考えられました。年齢差、利き足、BMI(コレステロール・血糖値)等を考慮した研究が今後必要です。リウマチ性疾患や整形外科的外傷による腱の異常値を判断するためには、健常者における正常構造の知見を集積する必要があります。今後の研究内容としても十分価値のあるものであり、平野さんをはじめゼミ学生の今後の活躍を大いに期待したいと思います」とこの研究の価値について解説しています。
また、学会長・支部長からも、非常にレベルの高い研究であり、検診データを活用し高齢者を含めた検討を行うといった今後の研究の展開に強く期待しますと直接コメントをいただきました。今後、本成果を論文(和文)や書籍(英文)としてまとめたいとゼミの学生は話しています。また、小荒田教授は同学会から最優秀指導医賞に選ばれました。